秋から初冬の植物と言えば、やはりモミジです。紅葉する植物の代表で、特にイロハモミジは、その葉の形も美しく、日本の秋を代表する植物といえます。
イロハモミジ(いろは紅葉)
学名 Acer palmatum
科名 ムクロジ科
属名 カエデ属
落葉高木で樹高は約15mほどにもなります。
3-5㎝ほどの葉は、掌状に 5~9裂し、裂片は鋭いギザギザと不揃いのノコギリ状で、先が長く伸びているのが特徴です。秋には黄色~紅色に変色して、散っていきます。
春は紫系の花が、夏は小さな翼果が見られます。
変種や園芸種が多い種です。
名前の由来
「モミジ」の名前の由来は、この植物以外も含めて、揉むと染料になるものを「もみづ」と呼んでいたことに由来するそうです。「かえで」は蛙の手に似ていることから「かえるで」と呼ばれるようになりました。
モミジとカエデの違い
どちらも同じカエデ属の植物ですので分類学的には同じ属の植物です。欧米では「maple」とひとくくりにしますが、日本人はこだわりがあるようで、モミジとカエデの違いは~という話題をよく聞きます。俗称としては、葉の切れ込みが深いものを「もみじ」葉の切れ込みが浅いものを「かえで」と呼ぶようです。ちなみに、カナダの国旗に描かれているのは「サトウカエデ」メイプルシロップの原料となる「メープル」です。
紅葉のメカニズム
紅葉のメカニズムは諸説ありますが、近年は下記の説が強いようです。
落葉植物は、夏のように日照時間が長い時期は、クロロフィルが活発に光合成を行いますが、寒くなって日照時間が短くなると、葉に蓄えた栄養素を根に運び、水分の蒸散を防ぎ、エネルギーの無駄を省くために、葉を落とす準備をはじめます。
日照時間が長い時期:クロロフィルによる緑色(光合成が活発)
日照時間が短い時期:クロロフィルが分解(光合成に適さないことと、葉の老化現象)
やがて、葉の付け根には「離層」ができて、枝から葉が切り離されます。
さらに赤く紅葉する植物は、新たにアントシアン色素をつくり出します。
また黄色になる場合は、カロテノイド(とくにキサントフィル類)が目立つようになります。こちらはもともと存在していますが、クロロフィルが消えることで目立ってきます。
さらにタンニン系の化合物が多く、他の色素が少ない場合は褐色系に見えます。
タンニンの場合は、葉の中での酸化重合もポイントです。